食欲の秋がやってくる
デブになる季節が近いてきた。
昔から、女性の好むものは『芝居・浄瑠璃・芋・たこ・南瓜』と言われているそうだが、私の場合はちょっと違って『猫・筋肉・芋・栗・南瓜』である。たこも好きだが、しょっちゅう食べたいほどではない。
ケーキ屋でケーキを買うとき、私は高確率でモンブランを選ぶ。
何度も通っているお店だと、季節の新商品や、他のものにも目移りするが、初めて行く店であれば必ず選ぶのは栗のモンブランだ。
パフェやパンケーキ、クレープなんかでも、もしメニューにモンブランがあればそれを選ぶ。
秋になると、ここに芋とカボチャが加わるから大変だ。
栗のモンブランは、どこのケーキ屋でも年中置いてあるから、焦らず好きなときに食べればいい。
が、芋とカボチャのスイーツは、秋限定の場合が多い。
シーズンを逃せば、いつの間にか冬になって、苺スイーツのフェアが始まったりする。苺も好きではあるけど、芋やカボチャに比べると全然だ。できれば冬も、いやむしろ年中通して、芋とカボチャのフェアをやってほしいと毎回願ってしまう。
ゴリラみたいな体型のくせに、これでもスタイルを気にしているから、私は普段、お菓子を食べない。だいたい週に一度ぐらいに留めており、そのときですら、ケーキやクレープ、パフェ、パンケーキのような、高脂質・高カロリーのものはなるべく避けている。
だから芋・栗、カボチャのスイーツを一気に、それも期間限定で出されると非常に困る。私が普段お菓子を食べているペースでは、気になる商品を全部食べられないからだ。
痩身のために涙を飲んで我慢するか、後悔しないように思い切って食べまくるか、迷いに迷う。
去年は我慢するほうを選んだ。
けど今年は、なんだか後悔したくない。
思い切って食べたら食べたで、太って今度は別の後悔が待ち受けているだろうが、もし来年死んでしまうとしたら…などと考えると、好きなものを食べておいたほうが絶対特だと思う。
私は、今飼っている猫たちを見送るまで絶対死なない、と決めているので、向こう20年は生きる予定だ。
それでも人生何が起こるかわからない。
もし明日死ぬとしたら?
余命1年の宣告を受けたら? と想像し、自分の生き方について考えることがしょっちゅうある。
もしそうなったら、ダイエットだの筋肉だの一切気にせず、これで我慢に我慢を重ねてきたものらを一斉に食べると思う。
ケーキ、クレープ、パンケーキ、菓子パン、惣菜パン、リンツのチョコレート、ドーナツ、シュークリーム、唐揚げ、カツ丼、月見バーガー、マックグリドル、焼きそば、オムライス、ピザ、ラーメン、チャーハン、餃子、クリームパスタ、カレーうどん……挙げるとまだまだキリがない。
書いていて、こんなにも多くのものを我慢しているのかと、今ちょっと自分を褒めたくなった。
一年を通して、こんなにも沢山のもの控えまくっているのだから、秋ぐらいワガママになっても良いではないか。
それに、上に書いたのものを全部食べる訳ではない。
私が食べようとしているのは、季節限定の芋・栗・南京のスイーツだけだ。狙っているもののカロリーをすべて合計しても、たぶん3000kcalほどだと思われる。天下一品のラーメン3杯分だ。それを数日に分けて摂取するのだから、大したことがないような気がしてきた。
それにしても、たかが季節限定のスイーツを数個食べるだけで、なぜこんなにも自分を納得させ、また言い訳を考える必要があるのだろう。
誰に迷惑がかかるわけでもなし、好きなものぐらい、好きに食べればいい。
昔、太っていることを理由にいじめを受けたトラウマからか、私は太ることに極度の恐怖心がある。
今は亡きX JAPANのHIDEさんも、子供の頃は肥満児でいじめを受けたため、太るのを恐れて飲み会の後に吐いていた、というエピソードがあったはずだ。
それに結局、肥満は健康に悪い。最終的に自分で自分の首を締める羽目になる。
また私の着たい服は、太ると着られなくなるものがほとんどだ。だからやはり、体型を気にして生きていくしかないのだと思う。トホホ。
でもいつか、自分があらゆる物事を諦めることができたとき、見た目を気にするのをやめて、我慢しまくっていたものを悉く食べて生きてやろうと決めている。
その結果、寿命が縮んだって構うものか。
とにかく今年の秋は、ミスドの限定ドーナツを食べておきたい。
読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋というが、前の2つは季節問わず行っているので、3つ目の食欲を今年は少し、満たしてやろうと思う。