わかったさんのスイートポテト
子どもの頃、大好きだった『わかったさんシリーズ』から、なんと33年ぶりの新作が発売された!!
『わかったさんのスイートポテト』🍠

まさにサツマイモのシーズンである今にぴったりのお菓子。
しかも新シリーズがスタート、とのことなので、今後も引き続き新作を発表していくようだ。
あまりにも懐かしく、嬉しくなってしまい、もう児童書を読む年齢でもないのに買ってしまった。
子どもの頃は、結構長い時間かけて読んでいたような気がしていたストーリーが、今は短時間でスラスラ読める。また、あのときはすんなり受け入れていたおとぎ話のような展開に、ところどころ「なんでやねん!w」とツッコミを入れたりもする。
そんな自分の変化も楽しみながら、大好きだった世界観と絵と文章を堪能させてもらった。
この新刊が発売されて初めて知ったのだが、かつて文章のほうを担当されていた作家さんがお亡くなりになられていたらしい。にもかかわらず、世界観を崩さない新シリーズを始めてくださったのはありがたいことだ。今後も新作が発売されたら、きっと買うような気がする。
わかったさんといえば、クリーニング屋の娘さんである、通称わかったさん(口癖が「わかった、わかった」なので)が、配達の途中に突然ファンタジーの世界に入ってしまい、そこれ美味しいお菓子を作るというお話。
物語も面白いが、巻末に、子どもでもわかりやすい絵付きのレシピが載ってあるのが魅力だ。またそのレシピが秀逸で、決して子供だましじゃない。失敗しづらく、ちゃんと綺麗で美味しいのを作れるのが凄かった。
この本との出会いは、幼なじみだった女の子の家でだった。
「あ、わかったさんの本だ~!」
「わたしももってる!」
「わたしも~」
と皆が言う中、私だけが知らなかった。
別にお菓子作りに興味はなかったのだが、表紙の絵とタイトルの字が可愛いのに惹かれて、だんだん欲しいと思うようになった。
母にねだって、最初に買ってもらったのは、確かクレープの本だったと思う。
はじめはレシピのページばかり眺めていたのが、物語のほうも読みはじめたところ、面白くて何度も何度も読み返した。
また、レシピを再現したいと思って母と一緒にクレープも本当に作った。お店でしか食べられないと思っていたクレープが、家でも作れたことに感動した。
その後も何度かねだって、マドレーヌとクッキーも買ってもらったが、なぜかそれ以上は買ってもらえなかった。値段が高かったのだろうか?
ちなみに、マドレーヌとクッキーも両方作ってみたが、友達のお母さんに「レシピを教えて」と言われるほど美味しかったのを覚えている。
一方、私に初めてわかったさんシリーズを見せてくれた友人の家には、全シリーズが揃っていた。しかも、わかったさんの料理版ともいえる、こまったさんシリーズまであった。
「いいなあ。うち、あんまり買ってもらえないんだよね。だから何回も同じのを読んでる」
と言うと、
「えっ。ちゃんと読んでんの!? あたし、レシピのとこ見るだけで、まったく読んだことないよ」
ええええ~~~~~;;;;(汗)
そのとき、なんか無性に悔しかった。
きちんと読んでいる私は本を買ってもらえないのに、なぜこんな勿体ない使い方をする友達のほうが全巻買ってもらっているんだろうか。おまけに彼女は、レシピの再現もほとんどしたことがないようだった。
世の不条理みたいなものを感じた瞬間だった。
あの頃は買えなかった本が、今は自由に買えるのが嬉しい。大人になるって、いいなあって思う。たまに「子供の頃に帰りたい」とか「もう一度高校生をやりたい」なんて言う人がいるが、私は微塵もそうは思わない。何もかも自分の判断で決められて、門限もなく、受験勉強もしなくていい大人バンザイって感じだ。
それでも、子どもの頃に好きだったものに、久々に触れるのは嬉しい。
スイートポテトも、今度時間があるときに作ってみようかなと思う。久々に見たわかったさんのレシピは、やっぱり簡単でわかりやすい。次回作も楽しみだ。